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弁護人意見陳述
被告事件に対する陳述書
被告人に対するインターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律違反被告事件についての弁護人の陳述は、下記のとおりである。
1. はじめに
被告人は無罪である。
以下、法律問題と憲法問題とに分けて論じる。
2. 法律問題
被告人が「ぽっちゃりパフェ」という名称のサイトを運営していたことは事実であるが、被告人の運営していた「ぽっちゃりパフェ」は、その名称から明らかなように、「ぽっちゃり女性」に焦点を定めたホームページに過ぎず、「異性交際(面識のない異性との交際をいう。以下同じ。)を希望する者(以下「異性交際希望者」という。)の求めに応じ、その異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達し、かつ、当該情報の伝達を受けた異性交際希望者が電子メールその他の電気通信を利用して当該情報に係る異性交際希望者と相互に連絡することができるようにする役務を提供する事業」(インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律(以下「法」という。)2条2号)でいう「インターネット異性紹介事業」には全く該当しない。
少なくとも、下記憲法の趣旨及び本法の目的を考慮しつつ法第2条2号を理解する限り、被告人のサイト運営行為は「インターネット異性紹介事業」には該当しない。
よって、被告人には、法7条1項で要求される公安委員会への届出義務はなく、無罪である。
3. 法令違憲
(1) 憲法31条
本件では、被告人のサイト運営が法2条2号で定義される「インターネット異性紹介事業」に該当するとして起訴されているものであるが、当該定義規定からは、被告人が従前から行っていた「ぽっちゃりパフェ」が「インターネット異性紹介事業」に該当するか否かが判然としない。憲法31条は、罪刑法定主義の観点から、刑罰法規の明確性を要求しているが、一般人の通常の理解において、どのようなサイト運営行為が「インターネット異性紹介事業」に該当するか否かの判断は著しく困難なのである。
逆に、「インターネット異性紹介事業」を明確に判断しようとすると、何らかの形で異性との交流が生じ得るようなサイトは、全て「インターネット異性紹介事業」であると解することになり、過度に広範な規制にならざるを得ないのである。
よって、本法の規定は、刑罰法規の明確性の原則に反するものであり、違憲無効である。(2) 憲法21条
本法は、インターネットを利用した形でのコミュニティー形成の場を奪うという点で、被告のみならずサイト利用者の表現の自由を過度に制約する法律であり、憲法21条1項に違反する。本法の目的は、「インターネット異性紹介事業を利用して児童を性交等の相手方となるように誘引する行為等を禁止するとともに、インターネット異性紹介事業について必要な規制を行うこと等により、インターネット異性紹介事業の利用に起因する児童買春その他の犯罪から児童を保護し、もって児童の健全な育成に資すること」とされており(法1条)、児童の保護を究極の目的としている。重要な立法目的を達成するために、表現の自由が制約され得ることまでは否定しないが、その規制は必要最小限でなくてはならず、児童買春等の犯罪行為とは全く無関係で、趣味的なサイト運営を営んでいる被告人のようなサイト運営者を刑罰を科して規制することは、必要最小限の規制とは言えない。
よって、本法は、憲法21条に違反するものとして、違憲無効である。
4. 適用違憲
仮に、本法自体が合憲であると解されるとしても、長年に渡り営利を目的とせず、趣味的にサイト運営を行っていた被告人に対して本法を適用することは、その適用において違憲といわざるを得ない。本件は、本法改正後、「インターネット異性紹介事業」の届出違反(法7条1項)が問われた最初の事案であり、警視庁としてもそのことを意識した上で、被告人を最初のターゲットとして狙いを定めて摘発を行ったことが強く疑われる。被告人としても、男性捜査官が女性に成りすまして「ぽっちゃりパフェ」にユーザー登録をして書き込みを行った事実を把握しているが、「インターネット異性紹介事業」とは無関係な被告人のサイト運営について、無理やりに「インターネット異性紹介事業」に仕立て上げたものであり、被告人に本法を適用して刑罰を科すことは、その適用において違憲である。
5. 結論
以上のとおり、被告人の「ぽっちゃりパフェ」の運営は、「インターネット異性紹介事業」にあたらず無罪である。
また、憲法論の観点からも、本法は、憲法31条及び21条に違反するものとして違憲無効であり、仮に違憲無効とまでは認められないとしても、被告人に本法を適用するかぎりにおいて、適用違憲であり、何れにしても被告人は無罪である。
以上
〜 熊ちゃん弁護士、陳述中に誤記に気付く! 〜
3.(2)憲法21条の序盤に
「・・・コミュニティー形成の場を奪うという点で、被告のみならずサイト利用者の表現の自由を過度に制約する法律であり・・・」
とあるのですが、実はこれ、提出したものに誤記があって、弁護士が読み上げている最中に自ら訂正しました。
陳述書はすでに裁判官に提出してあり、そこには
「被告のみならず」
じゃなくて
「原告のみならず」
と書いてあったのです(^^;)。
読めば読むほど、そして調べれば調べるほどこの法律自体、あるいはこの法律の適用というものに対して「こりゃ〜どう考えてもおかしいよ!」という気持ち(疑念)が強く湧いてきます。
だからどうしてもこの裁判では我々は被告の立場であるにもかかわらず、まるで原告であるかのような気分になってしまうんですよね。 この法律を作った国、あるいは適用した行政機関である警察を、逆に我々が訴えているような気分になるのです。
けどいざ声をあげて読む段階になったらしっかりと誤記に気付いた熊ちゃん弁護士。すかさず冷静に訂正を申告して対応しました。
沈着冷静。頼りになります、我らが熊ちゃん(^^)。
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